せっかくなので KATEX を活用した記事を書いてみました.AIフル活用です.
What is “e” ?
e は自然対数(natural logarithm)の底として使われる定数で,ネイピア数(Napier's constant)やオイラー数(Euler's number)とも呼ばれる.値は次の通りである.
e=2.71828182845904523536…
e は無理数であり,さらに超越数(有理数係数の多項式の根にならない数)でもある.
e を底とする指数関数 ex は,微分しても形が変わらないという性質を持つ.
dxdex=ex
また,その逆関数である自然対数 logx=logex の導関数は x1 になる.この扱いやすさから,e は微積分,確率・統計,物理,工学など多くの分野で自然に現れる.
なお,本記事では底を省略した logx は自然対数 logex を表す.分野によっては lnx と書くことも多い.
Origin of the Name
- ネイピア数:対数を発明したスコットランドの数学者ジョン・ネイピア(John Napier)にちなむ.ただし,ネイピア自身が e という定数を明示的に扱ったわけではない
- オイラー数:記号 e を導入したスイスの数学者レオンハルト・オイラー(Leonhard Euler)にちなむ
オイラーがなぜ e という文字を選んだのかは分かっていない."exponential"(指数)の頭文字だからという説や,a を別の量に使っていたので次の母音である e を使ったという説がある.
Definitions
e にはいくつかの定義の仕方があり,どれも同じ数を定める.代表的なものは次の 5 つである.
Limit Definition
e=n→∞lim(1+n1)n
Series Definition
e=k=0∑∞k!1=1+1!1+2!1+3!1+⋯
Derivative Definition
次を満たす唯一の正の数を e とする.つまり,(ax)′=ax となる底 a が e である.
h→0limheh−1=1
Integral Definition
次を満たす唯一の正の数を e とする.
∫1et1dt=1
Differential Equation Definition
初期値問題 y′=y, y(0)=1 の解 y(x) を用いて,次のように定める.
e=y(1)
Derivations
ここでは Limit Definition を出発点とし,残りの 4 つの定義がすべて同じ数を定めることを示す.流れは次の通りである.
- Limit Definition の式がどこから来るかを見る(Compound Interest)
- その極限が実際に存在することを示す(Convergence of the Limit)
- n を実数 x や h1 に置き換えても同じ極限になることを示す(Extending to Real Numbers)
- 残りの定義との一致を 1 つずつ示す(Series Form,Derivative Form,Integral Form,Differential Equation Form)
各節がどの結果を使うかは次の通りである.後ろの節ほど前の結果を多く使うので,上から順に読むとよい.
前提:正の数 a に対して実数乗 ax が定義されていて,次が成り立つものとする.
- ax は x について連続である
- a>1 なら ax は狭義単調増加である(指数が大きいほど値が大きい)
- x>0 なら,0<a<b のとき ax<bx である(底が大きいほど値が大きい)
- 指数法則 ax+y=axay,(ax)y=axy が成り立つ
また,e が定まったあとは logx を ex の逆関数(自然対数)とする.ex が連続かつ狭義単調増加なので,logx も連続かつ狭義単調増加であり,指数法則から log(ab)=bloga が成り立つ.
Compound Interest
Limit Definition の式は複利計算から自然に出てくる.ベルヌーイが考えたのもこの問題である.
元本を 1,年利を 100% とする.
- 1 年に 1 回利息をつけると,1 年後の金額は 1+1=2 になる
- 半年ごとに 50% ずつ利息をつけると,(1+21)2=2.25 になる
- 1 年を n 回に分けて,毎回 n1 ずつ利息をつけると,(1+n1)n になる
n を大きくしていくと,値は次のようになる.

利息をつける回数を増やしても金額は無限に増えるわけではなく,ある値に近づいていくように見える.この極限値(連続複利で 1 年運用したときの金額)が e である.
Convergence of the Limit
表を見ると収束しそうだが,数値を眺めるだけでは本当に収束するかは分からない.そこで「上に有界な単調増加数列は収束する」という実数の性質を使って,極限の存在を示す.
命題:数列 an=(1+n1)n は狭義単調増加で,上に有界である.したがって収束する.
方針:二項定理で an を展開し,各項を n と n+1 で比べて単調増加を,各項を k!1 で上から抑えて有界性を示す.
証明:
ステップ 1(展開):二項定理より
an=k=0∑n(kn)nk1
である.k≥1 のとき,分子の k 個の因数をそれぞれ n で割ると
(kn)nk1=k!nkn(n−1)⋯(n−k+1)=k!1⋅nn⋅nn−1⋯nn−k+1=k!1j=0∏k−1(1−nj)
となる.そこで
Tk(n)=k!1j=0∏k−1(1−nj)(T0(n)=1)
とおくと,
an=k=0∑nTk(n)(A)
と書ける.k≤n なら j≤k−1≤n−1 なので,積の各因子 1−nj は 0 より大きく 1 以下である.
ステップ 2(単調増加):k≤n を固定して Tk(n) と Tk(n+1) を比べる.各 j≥1 について
0<1−nj<1−n+1j
であり(j=0 の因子はどちらも 1),正の数どうしの積なので Tk(n)≤Tk(n+1) が成り立つ.よって
an+1=k=0∑nTk(n+1)+Tn+1(n+1)≥k=0∑nTk(n)+Tn+1(n+1)=an+Tn+1(n+1)
である.Tn+1(n+1)>0 なので an<an+1 となる.
ステップ 3(上に有界):ステップ 1 より積の各因子は 1 以下なので Tk(n)≤k!1 であり,
an≤k=0∑nk!1
となる.k≥1 のとき,k!=1⋅2⋅3⋯k のうち 2 から k までの k−1 個の因数はすべて 2 以上なので,k!≥2k−1 である.よって等比数列の和の公式より
an≤1+k=1∑n2k−11=1+2(1−2n1)<3
となる.
以上より,{an} は上に有界な単調増加数列なので収束する.この極限値を e と定める.また a1=2<a2≤e とステップ 3 の評価から,2<e≤3 も分かる.■
Extending to Real Numbers
Limit Definition は n が自然数の極限だが,後の Derivative Form では h→0 という実数の極限が必要になる.そこで,変数を実数にしても極限が e のままであることを示しておく.
命題:
x→∞lim(1+x1)x=e,x→−∞lim(1+x1)x=e,h→0lim(1+h)h1=e
方針:実数 x を連続する整数 n, n+1 で挟み,はさみうちの原理を使う.残りの 2 つは変数変換で 1 つ目に帰着させる.

証明:
x→∞ の場合:x≥1 とし,n=⌊x⌋ とおくと n≤x<n+1 である.前提の単調性を 1 回ずつ使うと,
(1+n+11)n<(1+x1)n≤(1+x1)x≤(1+n1)x<(1+n1)n+1
が成り立つ.左から順に,底を大きくした(n+11<x1),指数を大きくした(n≤x,底は 1 より大きい),底を大きくした(x1≤n1),指数を大きくした(x<n+1)だけである.
両端は Convergence of the Limit の結果を使って
(1+n+11)n=1+n+11(1+n+11)n+1→1e=e,(1+n1)n+1=(1+n1)n(1+n1)→e⋅1=e
となる.x→∞ のとき n→∞ なので,はさみうちの原理より (1+x1)x→e である.
x→−∞ の場合:x=−y とおくと y→∞ である.y>1 として,1−y1=yy−1 と y−1y=1+y−11 を使い,指数を y=(y−1)+1 と分けると
(1+x1)x=(1−y1)−y=(y−1y)y=(1+y−11)y−1(1+y−11)
となる.y−1→∞ なので,前半の結果より右辺は e⋅1=e に収束する.
h→0 の場合:x=h1 とおくと (1+h)1/h=(1+x1)x である.h→+0 のとき x→∞,h→−0 のとき x→−∞ なので,どちらの場合も上の結果から e に収束する.
以上より,命題が示された.■
Series Form
式 (A) を見ると,an は ∑k!1 の各項に (1−nj) という因子がかかった形をしている.n→∞ でこの因子は 1 に近づくので,e=∑k!1 になりそうである.ただし n を大きくすると項の数も増えるので,「各項の極限をとって足す」という操作はそのままでは使えない.そこで,上からと下からの 2 つの不等式に分けて示す.
命題:
e=k=0∑∞k!1
方針:部分和 sn=∑k=0nk!1 の極限を s とし,e≤s と e≥s の両方を示す.下からの評価では項の数を固定してから極限をとる.

証明:
s の存在:sn は単調増加で,Convergence of the Limit のステップ 3 と同じ評価により sn<3 である.よって極限 s=limn→∞sn が存在する.
e≤s であること:ステップ 3 で示したように an≤sn である.n→∞ とすると e≤s となる.
e≥s であること:自然数 m を固定し,n≥m とする.(A) の各項は正なので,k=m までの項だけを残すと
an≥k=0∑mTk(n)=k=0∑mk!1j=0∏k−1(1−nj)
である.右辺は n によらない m+1 個の項の和なので,n→∞ で各項の極限をとってよい.各積は 1 に収束するので
e≥k=0∑mk!1=sm
となる.これが任意の m で成り立つので,m→∞ として e≥s を得る.
以上より,e=s=k=0∑∞k!1 が示された.■
テイラー展開を使った別証明もあるが,(ex)′=ex を使うので Derivative Form の後で紹介する.
Derivative Form
指数関数 ax を定義に従って微分すると,指数法則より
hax+h−ax=ax⋅hah−1
なので,
(ax)′=ax⋅h→0limhah−1
となる.右辺の極限が 1 になる a を選べば,(ax)′=ax という非常に扱いやすい関数が得られる.
極限が 1 になるということは,小さな h で ah≈1+h,つまり a≈(1+h)1/h ということである.h=n1 とおくと a≈(1+n1)n となり,Limit Definition と同じ式が出てくる.これを正確に示す.
命題:
h→0limheh−1=1
であり,a>0 のうち h→0limhah−1=1 を満たすのは a=e だけである.
方針:t=eh−1 と置き換えて,Extending to Real Numbers で示した (1+t)1/t→e の形に持ち込む.一般の a は ah=ehloga と書き直して a=e の場合に帰着させる.
証明:
a=e で極限が 1 になること:t=eh−1 とおく.ex は連続かつ狭義単調増加なので,h→0 のとき t→0 であり,h=0 なら t=0 である.また eh=1+t より h=log(1+t) である.よって,log(ab)=bloga を使うと
heh−1=log(1+t)t=t1log(1+t)1=log(1+t)t11
となる.Extending to Real Numbers より t→0 のとき (1+t)1/t→e であり,log は連続なので,
h→0limheh−1=loge1=1
である.
a=e に限ること:すべての a>0 について極限が loga になることを示す.
- a=1 のとき:hah−1=0 なので極限は 0=log1 である
- a=1 のとき:a=eloga と指数法則より ah=ehloga である.u=hloga とおくと,loga=0 なので h→0 のとき u→0, u=0 であり,前半の結果から
hah−1=loga⋅ueu−1→loga⋅1=loga
となる.
よって極限が 1 になるのは loga=1,すなわち a=e のときだけである.
以上より,命題が示された.■
この証明から,一般の底について (ax)′=axloga となることも分かる.loga=1 となる e を底に選ぶと,余計な係数がつかなくなる.
補足:テイラー展開による Series Form の別証明
(ex)′=ex が分かったので,Series Form をテイラー展開からも導ける.
f(x)=ex とすると,何回微分しても f(k)(x)=ex なので f(k)(0)=1 である.x=0 のまわりでラグランジュの剰余項つきテイラーの定理を x=1 に適用すると,ある 0<θ<1 が存在して
e=k=0∑nk!1+(n+1)!eθ
となる.ex は狭義単調増加なので 0<eθ<e1<3 であり,剰余項は
0<(n+1)!eθ<(n+1)!3→0(n→∞)
を満たす.よって e=k=0∑∞k!1 である.■
同じ議論を一般の x で行うと,ex=k=0∑∞k!xk も得られる.
Integral Form
L(x)=∫1xt1dt は,後で示すように積を和に変える(L(ab)=L(a)+L(b))という対数と同じ性質を持つ.すると L(an)=nL(1+n1) となる.L(1+n1) は高さがほぼ 1,幅 n1 の細長い部分の面積なのでほぼ n1 であり,L(an)≈1 となる.これを正確に示す.

命題:x>0 に対して
L(x)=∫1xt1dt
とおくと,L(e)=1 であり,L(x)=1 を満たす x は e だけである.
方針:L(xn)=nL(x) を示し,L(an) を上下から評価して n→∞ とする.一意性は L の単調性から従う.
証明:
ステップ 1(積を和に変える):a,b>0 に対して L(ab)=L(a)+L(b) が成り立つ.実際,積分区間を分けると
L(ab)=∫1at1dt+∫aabt1dt
であり,第 2 項で t=au と置換すると dt=adu,積分範囲は u:1→b となるので,
∫aabt1dt=∫1bau1adu=∫1bu1du=L(b)
となる.
ステップ 2(べき乗を倍に変える):自然数 n に対して L(xn)=nL(x) である.n=1 では明らかで,n で成り立てばステップ 1 より L(xn+1)=L(xn⋅x)=nL(x)+L(x)=(n+1)L(x) となるので,数学的帰納法により示される.
ステップ 3(L(an) の評価):区間 [1,1+n1] 上では
n+1n=1+n11≤t1≤1
である.この区間で積分すると,区間の幅は n1 なので
n+11≤L(1+n1)≤n1
となる.各辺に n をかけ,ステップ 2 で nL(1+n1)=L((1+n1)n)=L(an) と書き換えると
n+1n≤L(an)≤1
を得る.
ステップ 4(極限をとる):n→∞ とすると,はさみうちの原理より L(an)→1 である.一方,微分積分学の基本定理より L′(x)=x1 なので L は微分可能,特に連続である.an→e だから
L(e)=n→∞limL(an)=1
となる.
ステップ 5(一意性):L′(x)=x1>0 なので L は狭義単調増加である.よって L(x)=1 を満たす x は e だけである.
以上より,命題が示された.■
図形的には,双曲線 y=t1 と t 軸,直線 t=1,t=e で囲まれた部分の面積がちょうど 1 になる,ということである.なお L(x) と logx はどちらも x=1 で 0 になり,導関数がどちらも x1 なので,L(x)=logx である.
Differential Equation Form
y′=y は「増える速さが今の量に比例する」という式であり,複利計算と同じ構造をしている.まず 2 つの見方から Limit Definition と Series Definition の式が現れることを見て,そのあと厳密に証明する.以下の 2 つは直感的な説明であり,証明ではない.
見方 1:オイラー法
区間 [0,1] を n 等分し,幅 n1 ごとに y′=y を差分で近似すると
yk+1=yk+n1yk=(1+n1)yk,y0=1
となる.よって yn=(1+n1)n であり,n→∞ で Limit Definition の式が現れる.これは「1 年を n 回に分けて利息をつける」複利計算そのものである.
見方 2:べき級数
解が y=∑k=0∞ckxk と展開できると仮定すると,
y′=k=0∑∞(k+1)ck+1xk
なので,y′=y の係数を比較して (k+1)ck+1=ck を得る.c0=y(0)=1 より ck=k!1 となり,y(1)=∑k=0∞k!1 という Series Definition の式が現れる.
命題:初期値問題
y′=y,y(0)=1
の解は y=ex ただ 1 つであり,したがって y(1)=e である.
方針:存在は Derivative Form から直接従う.一意性は,任意の解を ex で割った関数の導関数が 0 になることを示す.
証明:
存在:Derivative Form より (ex)′=ex であり,e0=1 なので,y=ex は解である.
一意性:y を任意の解とし,g(x)=y(x)e−x とおく.合成関数の微分より (e−x)′=−e−x なので,積の微分と y′=y を使うと
g′(x)=y′(x)e−x−y(x)e−x=(y′(x)−y(x))e−x=0
である.導関数が恒等的に 0 なので g は定数であり,g(x)=g(0)=y(0)e0=1 となる.したがって y(x)=ex である.
以上より,解は y=ex ただ 1 つであり,y(1)=e が示された.■
最後に
AIに書かせたとはいえ,ちゃんと内容は確認してます.気軽に書かせてみたら思ったより勉強させられました.
超越数ってなんやねん.また勉強して出直します.