Napier's Constant

2026/09/29 16:03
2026/09/29 16:29
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せっかくなので KaTeX\KaTeX を活用した記事を書いてみました.AIフル活用です.


What is “ee” ?

ee は自然対数(natural logarithm)の底として使われる定数で,ネイピア数(Napier's constant)やオイラー数(Euler's number)とも呼ばれる.値は次の通りである.

e=2.71828 18284 59045 23536…e = 2.71828\,18284\,59045\,23536\ldots

ee は無理数であり,さらに超越数(有理数係数の多項式の根にならない数)でもある.

ee を底とする指数関数 exe^x は,微分しても形が変わらないという性質を持つ.

ddxex=ex\frac{d}{dx} e^x = e^x

また,その逆関数である自然対数 log⁡x=log⁡ex\log x = \log_e x の導関数は 1x\dfrac{1}{x} になる.この扱いやすさから,ee は微積分,確率・統計,物理,工学など多くの分野で自然に現れる.

なお,本記事では底を省略した log⁡x\log x は自然対数 log⁡ex\log_e x を表す.分野によっては ln⁡x\ln x と書くことも多い.

Origin of the Name

  • ネイピア数:対数を発明したスコットランドの数学者ジョン・ネイピア(John Napier)にちなむ.ただし,ネイピア自身が ee という定数を明示的に扱ったわけではない
  • オイラー数:記号 ee を導入したスイスの数学者レオンハルト・オイラー(Leonhard Euler)にちなむ

オイラーがなぜ ee という文字を選んだのかは分かっていない."exponential"(指数)の頭文字だからという説や,aa を別の量に使っていたので次の母音である ee を使ったという説がある.


Definitions

ee にはいくつかの定義の仕方があり,どれも同じ数を定める.代表的なものは次の 5 つである.

Limit Definition

e=lim⁡n→∞(1+1n)ne = \lim_{n\to\infty}\left(1+\frac{1}{n}\right)^n

Series Definition

e=∑k=0∞1k!=1+11!+12!+13!+⋯e = \sum_{k=0}^{\infty}\frac{1}{k!} = 1 + \frac{1}{1!} + \frac{1}{2!} + \frac{1}{3!} + \cdots

Derivative Definition

次を満たす唯一の正の数を ee とする.つまり,(ax)′=ax(a^x)' = a^x となる底 aa が ee である.

lim⁡h→0eh−1h=1\lim_{h\to 0}\frac{e^h - 1}{h} = 1

Integral Definition

次を満たす唯一の正の数を ee とする.

∫1e1t dt=1\int_1^{e}\frac{1}{t}\,dt = 1

Differential Equation Definition

初期値問題 y′=y, y(0)=1y' = y,\ y(0) = 1 の解 y(x)y(x) を用いて,次のように定める.

e=y(1)e = y(1)

Derivations

ここでは Limit Definition を出発点とし,残りの 4 つの定義がすべて同じ数を定めることを示す.流れは次の通りである.

  1. Limit Definition の式がどこから来るかを見る(Compound Interest)
  2. その極限が実際に存在することを示す(Convergence of the Limit)
  3. nn を実数 xx や 1h\frac{1}{h} に置き換えても同じ極限になることを示す(Extending to Real Numbers)
  4. 残りの定義との一致を 1 つずつ示す(Series Form,Derivative Form,Integral Form,Differential Equation Form)

各節がどの結果を使うかは次の通りである.後ろの節ほど前の結果を多く使うので,上から順に読むとよい.

節 使う結果
Convergence of the Limit 二項定理,有界な単調数列は収束する
Extending to Real Numbers Convergence of the Limit
Series Form Convergence of the Limit の式 (A) と評価
Derivative Form Extending to Real Numbers
Integral Form Convergence of the Limit,微分積分学の基本定理
Differential Equation Form Derivative Form

前提:正の数 aa に対して実数乗 axa^x が定義されていて,次が成り立つものとする.

  • axa^x は xx について連続である
  • a>1a > 1 なら axa^x は狭義単調増加である(指数が大きいほど値が大きい)
  • x>0x > 0 なら,0<a<b0 < a < b のとき ax<bxa^x < b^x である(底が大きいほど値が大きい)
  • 指数法則 ax+y=axaya^{x+y} = a^x a^y,(ax)y=axy(a^x)^y = a^{xy} が成り立つ

また,ee が定まったあとは log⁡x\log x を exe^x の逆関数(自然対数)とする.exe^x が連続かつ狭義単調増加なので,log⁡x\log x も連続かつ狭義単調増加であり,指数法則から log⁡(ab)=blog⁡a\log(a^b) = b\log a が成り立つ.

Compound Interest

Limit Definition の式は複利計算から自然に出てくる.ベルヌーイが考えたのもこの問題である.

元本を 1,年利を 100% とする.

  • 1 年に 1 回利息をつけると,1 年後の金額は 1+1=21 + 1 = 2 になる
  • 半年ごとに 50% ずつ利息をつけると,(1+12)2=2.25\left(1 + \frac{1}{2}\right)^2 = 2.25 になる
  • 1 年を nn 回に分けて,毎回 1n\frac{1}{n} ずつ利息をつけると,(1+1n)n\left(1 + \frac{1}{n}\right)^n になる

nn を大きくしていくと,値は次のようになる.

01_compound_interest.png

nn (1+1n)n\left(1+\frac{1}{n}\right)^n
1 2
2 2.25
4 2.44140625
12 2.61303529…
365 2.71456748…
10000 2.71814592…
1000000 2.71828046…

利息をつける回数を増やしても金額は無限に増えるわけではなく,ある値に近づいていくように見える.この極限値(連続複利で 1 年運用したときの金額)が ee である.

Convergence of the Limit

表を見ると収束しそうだが,数値を眺めるだけでは本当に収束するかは分からない.そこで「上に有界な単調増加数列は収束する」という実数の性質を使って,極限の存在を示す.

命題:数列 an=(1+1n)na_n = \left(1+\dfrac{1}{n}\right)^n は狭義単調増加で,上に有界である.したがって収束する.

方針:二項定理で ana_n を展開し,各項を nn と n+1n+1 で比べて単調増加を,各項を 1k!\frac{1}{k!} で上から抑えて有界性を示す.

証明:

ステップ 1(展開):二項定理より

an=∑k=0n(nk)1nka_n = \sum_{k=0}^{n}\binom{n}{k}\frac{1}{n^k}

である.k≥1k \geq 1 のとき,分子の kk 個の因数をそれぞれ nn で割ると

(nk)1nk=n(n−1)⋯(n−k+1)k! nk=1k!⋅nn⋅n−1n⋯n−k+1n=1k!∏j=0k−1(1−jn)\binom{n}{k}\frac{1}{n^k} = \frac{n(n-1)\cdots(n-k+1)}{k!\,n^k} = \frac{1}{k!}\cdot\frac{n}{n}\cdot\frac{n-1}{n}\cdots\frac{n-k+1}{n} = \frac{1}{k!}\prod_{j=0}^{k-1}\left(1-\frac{j}{n}\right)

となる.そこで

Tk(n)=1k!∏j=0k−1(1−jn)(T0(n)=1)T_k(n) = \frac{1}{k!}\prod_{j=0}^{k-1}\left(1-\frac{j}{n}\right) \qquad (T_0(n) = 1)

とおくと,

an=∑k=0nTk(n)(A)a_n = \sum_{k=0}^{n}T_k(n) \tag{A}

と書ける.k≤nk \leq n なら j≤k−1≤n−1j \leq k-1 \leq n-1 なので,積の各因子 1−jn1 - \frac{j}{n} は 00 より大きく 11 以下である.

ステップ 2(単調増加):k≤nk \leq n を固定して Tk(n)T_k(n) と Tk(n+1)T_k(n+1) を比べる.各 j≥1j \geq 1 について

0<1−jn<1−jn+10 < 1 - \frac{j}{n} < 1 - \frac{j}{n+1}

であり(j=0j = 0 の因子はどちらも 1),正の数どうしの積なので Tk(n)≤Tk(n+1)T_k(n) \leq T_k(n+1) が成り立つ.よって

an+1=∑k=0nTk(n+1)+Tn+1(n+1)≥∑k=0nTk(n)+Tn+1(n+1)=an+Tn+1(n+1)a_{n+1} = \sum_{k=0}^{n}T_k(n+1) + T_{n+1}(n+1) \geq \sum_{k=0}^{n}T_k(n) + T_{n+1}(n+1) = a_n + T_{n+1}(n+1)

である.Tn+1(n+1)>0T_{n+1}(n+1) > 0 なので an<an+1a_n < a_{n+1} となる.

ステップ 3(上に有界):ステップ 1 より積の各因子は 1 以下なので Tk(n)≤1k!T_k(n) \leq \frac{1}{k!} であり,

an≤∑k=0n1k!a_n \leq \sum_{k=0}^{n}\frac{1}{k!}

となる.k≥1k \geq 1 のとき,k!=1⋅2⋅3⋯kk! = 1\cdot 2\cdot 3\cdots k のうち 22 から kk までの k−1k-1 個の因数はすべて 22 以上なので,k!≥2k−1k! \geq 2^{k-1} である.よって等比数列の和の公式より

an≤1+∑k=1n12k−1=1+2(1−12n)<3a_n \leq 1 + \sum_{k=1}^{n}\frac{1}{2^{k-1}} = 1 + 2\left(1 - \frac{1}{2^n}\right) < 3

となる.

以上より,{an}\{a_n\} は上に有界な単調増加数列なので収束する.この極限値を ee と定める.また a1=2<a2≤ea_1 = 2 < a_2 \leq e とステップ 3 の評価から,2<e≤32 < e \leq 3 も分かる.■\blacksquare

Extending to Real Numbers

Limit Definition は nn が自然数の極限だが,後の Derivative Form では h→0h \to 0 という実数の極限が必要になる.そこで,変数を実数にしても極限が ee のままであることを示しておく.

命題:

lim⁡x→∞(1+1x)x=e,lim⁡x→−∞(1+1x)x=e,lim⁡h→0(1+h)1h=e\lim_{x\to\infty}\left(1+\frac{1}{x}\right)^x = e, \qquad \lim_{x\to-\infty}\left(1+\frac{1}{x}\right)^x = e, \qquad \lim_{h\to 0}(1+h)^{\frac{1}{h}} = e

方針:実数 xx を連続する整数 n, n+1n,\ n+1 で挟み,はさみうちの原理を使う.残りの 2 つは変数変換で 1 つ目に帰着させる.

03_real_squeeze.png

証明:

x→∞x \to \infty の場合:x≥1x \geq 1 とし,n=⌊x⌋n = \lfloor x \rfloor とおくと n≤x<n+1n \leq x < n+1 である.前提の単調性を 1 回ずつ使うと,

(1+1n+1)n<(1+1x)n≤(1+1x)x≤(1+1n)x<(1+1n)n+1\left(1+\frac{1}{n+1}\right)^{n} < \left(1+\frac{1}{x}\right)^{n} \leq \left(1+\frac{1}{x}\right)^{x} \leq \left(1+\frac{1}{n}\right)^{x} < \left(1+\frac{1}{n}\right)^{n+1}

が成り立つ.左から順に,底を大きくした(1n+1<1x\frac{1}{n+1} < \frac{1}{x}),指数を大きくした(n≤xn \leq x,底は 1 より大きい),底を大きくした(1x≤1n\frac{1}{x} \leq \frac{1}{n}),指数を大きくした(x<n+1x < n+1)だけである.

両端は Convergence of the Limit の結果を使って

(1+1n+1)n=(1+1n+1)n+11+1n+1→e1=e,(1+1n)n+1=(1+1n)n(1+1n)→e⋅1=e\left(1+\frac{1}{n+1}\right)^{n} = \frac{\left(1+\frac{1}{n+1}\right)^{n+1}}{1+\frac{1}{n+1}} \to \frac{e}{1} = e, \qquad \left(1+\frac{1}{n}\right)^{n+1} = \left(1+\frac{1}{n}\right)^{n}\left(1+\frac{1}{n}\right) \to e \cdot 1 = e

となる.x→∞x \to \infty のとき n→∞n \to \infty なので,はさみうちの原理より (1+1x)x→e\left(1+\frac{1}{x}\right)^x \to e である.

x→−∞x \to -\infty の場合:x=−yx = -y とおくと y→∞y \to \infty である.y>1y > 1 として,1−1y=y−1y1 - \frac{1}{y} = \frac{y-1}{y} と yy−1=1+1y−1\frac{y}{y-1} = 1 + \frac{1}{y-1} を使い,指数を y=(y−1)+1y = (y-1) + 1 と分けると

(1+1x)x=(1−1y)−y=(yy−1)y=(1+1y−1)y−1(1+1y−1)\left(1+\frac{1}{x}\right)^x = \left(1-\frac{1}{y}\right)^{-y} = \left(\frac{y}{y-1}\right)^{y} = \left(1+\frac{1}{y-1}\right)^{y-1}\left(1+\frac{1}{y-1}\right)

となる.y−1→∞y - 1 \to \infty なので,前半の結果より右辺は e⋅1=ee \cdot 1 = e に収束する.

h→0h \to 0 の場合:x=1hx = \dfrac{1}{h} とおくと (1+h)1/h=(1+1x)x(1+h)^{1/h} = \left(1+\frac{1}{x}\right)^x である.h→+0h \to +0 のとき x→∞x \to \infty,h→−0h \to -0 のとき x→−∞x \to -\infty なので,どちらの場合も上の結果から ee に収束する.

以上より,命題が示された.■\blacksquare

Series Form

式 (A) を見ると,ana_n は ∑1k!\sum \frac{1}{k!} の各項に (1−jn)\left(1-\frac{j}{n}\right) という因子がかかった形をしている.n→∞n \to \infty でこの因子は 1 に近づくので,e=∑1k!e = \sum \frac{1}{k!} になりそうである.ただし nn を大きくすると項の数も増えるので,「各項の極限をとって足す」という操作はそのままでは使えない.そこで,上からと下からの 2 つの不等式に分けて示す.

命題:

e=∑k=0∞1k!e = \sum_{k=0}^{\infty}\frac{1}{k!}

方針:部分和 sn=∑k=0n1k!s_n = \sum_{k=0}^{n}\frac{1}{k!} の極限を ss とし,e≤se \leq s と e≥se \geq s の両方を示す.下からの評価では項の数を固定してから極限をとる.

02_series_vs_limit.png

証明:

ss の存在:sns_n は単調増加で,Convergence of the Limit のステップ 3 と同じ評価により sn<3s_n < 3 である.よって極限 s=lim⁡n→∞sns = \lim_{n\to\infty} s_n が存在する.

e≤se \leq s であること:ステップ 3 で示したように an≤sna_n \leq s_n である.n→∞n \to \infty とすると e≤se \leq s となる.

e≥se \geq s であること:自然数 mm を固定し,n≥mn \geq m とする.(A) の各項は正なので,k=mk = m までの項だけを残すと

an≥∑k=0mTk(n)=∑k=0m1k!∏j=0k−1(1−jn)a_n \geq \sum_{k=0}^{m}T_k(n) = \sum_{k=0}^{m}\frac{1}{k!}\prod_{j=0}^{k-1}\left(1-\frac{j}{n}\right)

である.右辺は nn によらない m+1m+1 個の項の和なので,n→∞n \to \infty で各項の極限をとってよい.各積は 1 に収束するので

e≥∑k=0m1k!=sme \geq \sum_{k=0}^{m}\frac{1}{k!} = s_m

となる.これが任意の mm で成り立つので,m→∞m \to \infty として e≥se \geq s を得る.

以上より,e=s=∑k=0∞1k!e = s = \displaystyle\sum_{k=0}^{\infty}\frac{1}{k!} が示された.■\blacksquare

テイラー展開を使った別証明もあるが,(ex)′=ex(e^x)' = e^x を使うので Derivative Form の後で紹介する.

Derivative Form

指数関数 axa^x を定義に従って微分すると,指数法則より

ax+h−axh=ax⋅ah−1h\frac{a^{x+h} - a^x}{h} = a^x \cdot \frac{a^h - 1}{h}

なので,

(ax)′=ax⋅lim⁡h→0ah−1h(a^x)' = a^x \cdot \lim_{h\to 0}\frac{a^h - 1}{h}

となる.右辺の極限が 1 になる aa を選べば,(ax)′=ax(a^x)' = a^x という非常に扱いやすい関数が得られる.

極限が 1 になるということは,小さな hh で ah≈1+ha^h \approx 1 + h,つまり a≈(1+h)1/ha \approx (1+h)^{1/h} ということである.h=1nh = \frac{1}{n} とおくと a≈(1+1n)na \approx \left(1+\frac{1}{n}\right)^n となり,Limit Definition と同じ式が出てくる.これを正確に示す.

命題:

lim⁡h→0eh−1h=1\lim_{h\to 0}\frac{e^h - 1}{h} = 1

であり,a>0a > 0 のうち lim⁡h→0ah−1h=1\displaystyle\lim_{h\to 0}\frac{a^h - 1}{h} = 1 を満たすのは a=ea = e だけである.

方針:t=eh−1t = e^h - 1 と置き換えて,Extending to Real Numbers で示した (1+t)1/t→e(1+t)^{1/t} \to e の形に持ち込む.一般の aa は ah=ehlog⁡aa^h = e^{h\log a} と書き直して a=ea = e の場合に帰着させる.

証明:

a=ea = e で極限が 1 になること:t=eh−1t = e^h - 1 とおく.exe^x は連続かつ狭義単調増加なので,h→0h \to 0 のとき t→0t \to 0 であり,h≠0h \neq 0 なら t≠0t \neq 0 である.また eh=1+te^h = 1 + t より h=log⁡(1+t)h = \log(1+t) である.よって,log⁡(ab)=blog⁡a\log(a^b) = b\log a を使うと

eh−1h=tlog⁡(1+t)=11tlog⁡(1+t)=1log⁡(1+t)1t\frac{e^h - 1}{h} = \frac{t}{\log(1+t)} = \frac{1}{\frac{1}{t}\log(1+t)} = \frac{1}{\log(1+t)^{\frac{1}{t}}}

となる.Extending to Real Numbers より t→0t \to 0 のとき (1+t)1/t→e(1+t)^{1/t} \to e であり,log⁡\log は連続なので,

lim⁡h→0eh−1h=1log⁡e=1\lim_{h\to 0}\frac{e^h - 1}{h} = \frac{1}{\log e} = 1

である.

a=ea = e に限ること:すべての a>0a > 0 について極限が log⁡a\log a になることを示す.

  • a=1a = 1 のとき:ah−1h=0\frac{a^h - 1}{h} = 0 なので極限は 0=log⁡10 = \log 1 である
  • a≠1a \neq 1 のとき:a=elog⁡aa = e^{\log a} と指数法則より ah=ehlog⁡aa^h = e^{h\log a} である.u=hlog⁡au = h\log a とおくと,log⁡a≠0\log a \neq 0 なので h→0h \to 0 のとき u→0, u≠0u \to 0,\ u \neq 0 であり,前半の結果から
ah−1h=log⁡a⋅eu−1u→log⁡a⋅1=log⁡a\frac{a^h - 1}{h} = \log a \cdot \frac{e^{u} - 1}{u} \to \log a \cdot 1 = \log a

となる.

よって極限が 1 になるのは log⁡a=1\log a = 1,すなわち a=ea = e のときだけである.

以上より,命題が示された.■\blacksquare

この証明から,一般の底について (ax)′=axlog⁡a(a^x)' = a^x \log a となることも分かる.log⁡a=1\log a = 1 となる ee を底に選ぶと,余計な係数がつかなくなる.

補足:テイラー展開による Series Form の別証明

(ex)′=ex(e^x)' = e^x が分かったので,Series Form をテイラー展開からも導ける.

f(x)=exf(x) = e^x とすると,何回微分しても f(k)(x)=exf^{(k)}(x) = e^x なので f(k)(0)=1f^{(k)}(0) = 1 である.x=0x = 0 のまわりでラグランジュの剰余項つきテイラーの定理を x=1x = 1 に適用すると,ある 0<θ<10 < \theta < 1 が存在して

e=∑k=0n1k!+eθ(n+1)!e = \sum_{k=0}^{n}\frac{1}{k!} + \frac{e^{\theta}}{(n+1)!}

となる.exe^x は狭義単調増加なので 0<eθ<e1<30 < e^{\theta} < e^1 < 3 であり,剰余項は

0<eθ(n+1)!<3(n+1)!→0(n→∞)0 < \frac{e^{\theta}}{(n+1)!} < \frac{3}{(n+1)!} \to 0 \quad (n \to \infty)

を満たす.よって e=∑k=0∞1k!e = \displaystyle\sum_{k=0}^{\infty}\frac{1}{k!} である.■\blacksquare

同じ議論を一般の xx で行うと,ex=∑k=0∞xkk!e^x = \displaystyle\sum_{k=0}^{\infty}\frac{x^k}{k!} も得られる.

Integral Form

L(x)=∫1x1t dtL(x) = \int_1^x \frac{1}{t}\,dt は,後で示すように積を和に変える(L(ab)=L(a)+L(b)L(ab) = L(a) + L(b))という対数と同じ性質を持つ.すると L(an)=nL(1+1n)L(a_n) = nL\left(1+\frac{1}{n}\right) となる.L(1+1n)L\left(1+\frac{1}{n}\right) は高さがほぼ 1,幅 1n\frac{1}{n} の細長い部分の面積なのでほぼ 1n\frac{1}{n} であり,L(an)≈1L(a_n) \approx 1 となる.これを正確に示す.

05_integral.png

命題:x>0x > 0 に対して

L(x)=∫1x1t dtL(x) = \int_1^{x}\frac{1}{t}\,dt

とおくと,L(e)=1L(e) = 1 であり,L(x)=1L(x) = 1 を満たす xx は ee だけである.

方針:L(xn)=nL(x)L(x^n) = nL(x) を示し,L(an)L(a_n) を上下から評価して n→∞n \to \infty とする.一意性は LL の単調性から従う.

証明:

ステップ 1(積を和に変える):a,b>0a, b > 0 に対して L(ab)=L(a)+L(b)L(ab) = L(a) + L(b) が成り立つ.実際,積分区間を分けると

L(ab)=∫1a1t dt+∫aab1t dtL(ab) = \int_1^{a}\frac{1}{t}\,dt + \int_a^{ab}\frac{1}{t}\,dt

であり,第 2 項で t=aut = au と置換すると dt=a dudt = a\,du,積分範囲は u:1→bu: 1 \to b となるので,

∫aab1t dt=∫1b1au a du=∫1b1u du=L(b)\int_a^{ab}\frac{1}{t}\,dt = \int_1^{b}\frac{1}{au}\,a\,du = \int_1^{b}\frac{1}{u}\,du = L(b)

となる.

ステップ 2(べき乗を倍に変える):自然数 nn に対して L(xn)=nL(x)L(x^n) = nL(x) である.n=1n = 1 では明らかで,nn で成り立てばステップ 1 より L(xn+1)=L(xn⋅x)=nL(x)+L(x)=(n+1)L(x)L(x^{n+1}) = L(x^n \cdot x) = nL(x) + L(x) = (n+1)L(x) となるので,数学的帰納法により示される.

ステップ 3(L(an)L(a_n) の評価):区間 [1,1+1n]\left[1, 1+\frac{1}{n}\right] 上では

nn+1=11+1n≤1t≤1\frac{n}{n+1} = \frac{1}{1+\frac{1}{n}} \leq \frac{1}{t} \leq 1

である.この区間で積分すると,区間の幅は 1n\frac{1}{n} なので

1n+1≤L(1+1n)≤1n\frac{1}{n+1} \leq L\left(1+\frac{1}{n}\right) \leq \frac{1}{n}

となる.各辺に nn をかけ,ステップ 2 で nL(1+1n)=L((1+1n)n)=L(an)nL\left(1+\frac{1}{n}\right) = L\left(\left(1+\frac{1}{n}\right)^n\right) = L(a_n) と書き換えると

nn+1≤L(an)≤1\frac{n}{n+1} \leq L(a_n) \leq 1

を得る.

ステップ 4(極限をとる):n→∞n \to \infty とすると,はさみうちの原理より L(an)→1L(a_n) \to 1 である.一方,微分積分学の基本定理より L′(x)=1xL'(x) = \frac{1}{x} なので LL は微分可能,特に連続である.an→ea_n \to e だから

L(e)=lim⁡n→∞L(an)=1L(e) = \lim_{n\to\infty}L(a_n) = 1

となる.

ステップ 5(一意性):L′(x)=1x>0L'(x) = \frac{1}{x} > 0 なので LL は狭義単調増加である.よって L(x)=1L(x) = 1 を満たす xx は ee だけである.

以上より,命題が示された.■\blacksquare

図形的には,双曲線 y=1ty = \frac{1}{t} と tt 軸,直線 t=1t = 1,t=et = e で囲まれた部分の面積がちょうど 1 になる,ということである.なお L(x)L(x) と log⁡x\log x はどちらも x=1x = 1 で 0 になり,導関数がどちらも 1x\frac{1}{x} なので,L(x)=log⁡xL(x) = \log x である.

Differential Equation Form

y′=yy' = y は「増える速さが今の量に比例する」という式であり,複利計算と同じ構造をしている.まず 2 つの見方から Limit Definition と Series Definition の式が現れることを見て,そのあと厳密に証明する.以下の 2 つは直感的な説明であり,証明ではない.

見方 1:オイラー法

区間 [0,1][0, 1] を nn 等分し,幅 1n\frac{1}{n} ごとに y′=yy' = y を差分で近似すると

yk+1=yk+1nyk=(1+1n)yk,y0=1y_{k+1} = y_k + \frac{1}{n}y_k = \left(1+\frac{1}{n}\right)y_k, \qquad y_0 = 1

となる.よって yn=(1+1n)ny_n = \left(1+\frac{1}{n}\right)^n であり,n→∞n \to \infty で Limit Definition の式が現れる.これは「1 年を nn 回に分けて利息をつける」複利計算そのものである.

見方 2:べき級数

解が y=∑k=0∞ckxky = \sum_{k=0}^{\infty}c_k x^k と展開できると仮定すると,

y′=∑k=0∞(k+1)ck+1xky' = \sum_{k=0}^{\infty}(k+1)c_{k+1}x^k

なので,y′=yy' = y の係数を比較して (k+1)ck+1=ck(k+1)c_{k+1} = c_k を得る.c0=y(0)=1c_0 = y(0) = 1 より ck=1k!c_k = \frac{1}{k!} となり,y(1)=∑k=0∞1k!y(1) = \sum_{k=0}^{\infty}\frac{1}{k!} という Series Definition の式が現れる.

命題:初期値問題

y′=y,y(0)=1y' = y, \qquad y(0) = 1

の解は y=exy = e^x ただ 1 つであり,したがって y(1)=ey(1) = e である.

方針:存在は Derivative Form から直接従う.一意性は,任意の解を exe^x で割った関数の導関数が 0 になることを示す.

証明:

存在:Derivative Form より (ex)′=ex(e^x)' = e^x であり,e0=1e^0 = 1 なので,y=exy = e^x は解である.

一意性:yy を任意の解とし,g(x)=y(x)e−xg(x) = y(x)e^{-x} とおく.合成関数の微分より (e−x)′=−e−x(e^{-x})' = -e^{-x} なので,積の微分と y′=yy' = y を使うと

g′(x)=y′(x)e−x−y(x)e−x=(y′(x)−y(x))e−x=0g'(x) = y'(x)e^{-x} - y(x)e^{-x} = (y'(x) - y(x))e^{-x} = 0

である.導関数が恒等的に 0 なので gg は定数であり,g(x)=g(0)=y(0)e0=1g(x) = g(0) = y(0)e^0 = 1 となる.したがって y(x)=exy(x) = e^x である.

以上より,解は y=exy = e^x ただ 1 つであり,y(1)=ey(1) = e が示された.■\blacksquare


最後に

AIに書かせたとはいえ,ちゃんと内容は確認してます.気軽に書かせてみたら思ったより勉強させられました.

超越数ってなんやねん.また勉強して出直します.